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郎読者、ライフ・イズ・ビューティフル、縞模様のパジャマの少年

郎読者、ライフ・イズ・ビューティフル、縞模様のパジャマの少年_c0057781_12491971.jpg昨晩遅くに読み始めた
「縞模様のパジャマの少年」(ジョン・ボイン著)を
いきなり読み終えてしまった。午前2時だった。

図書館でふと目についたこの本。
予期せぬことにホロコーストを書いた物語だった。
よく考えてみれば、縞模様の、というところで
予想できたかもしれない。

9歳の少年の目線で物語は語られる。
立派でみんなに尊敬されている父親と豪邸の生活。
でも、果物屋や料理人といった友人たちの父親と違って
具体的にどんな仕事をしているのかわからない。

ある日突然住み慣れたベルリンからある僻地へ引っ越しさせられる。

父はその日から「司令官閣下」と呼ばれ
家の向かいには果てしないフェンスが広がり
その向こうには縞模様のパジャマを着た人たちがいた。

物語の結末は悲しい皮肉にまみれて終わるのだが
そこから生じる無力感といったらない。





「郎読者」(ベルンハルト・シュリンク著)もまたホロコースト触れている物語で、
以前から幾度も読み返したりしながら本棚に鎮座している。

高校生の少年がある中年の女性と出会い
ひょんなことから少年が女性のためにいろんな話を朗読していくという筋だ。

実は女性は文盲でそのことを必死に隠そうとしていた。
少年はそれに気づくのだが素知らぬふりをして
古今東西の古典を朗読し続ける。

そんなある日女性が突然連行された。
罪状は戦争中のホロコーストに関わる殺人罪だった。

数年後、法科の大学生となった少年はその女性の裁判に立ち会う機会を得る。
加害者はなぜ加害者となったのか。
文盲であることと関係あったのか。
時代の被害者といえるのか。







そうこうしてホロコーストをテーマにした作品を思い起こしてみると
忘れられないのは『ライフ・イズ・ビューティフル』という映画だ。

ユダヤ系イタリア人家族が収容所に入れられるが
幼い息子が怖がらないために
これはゲームなんだ、と最後までウソを言い張った父親の話。

戦争末期、ロシア軍がそこまで来ているという瀬戸際
証拠を隠滅しようと収容所に火を放つ親衛隊面々。
逃げまどう人々。パニックになった収容所内では銃声もあちこちで鳴り響く。

それでも父は子どもの前では笑顔で
すごい演出だ!もうゲームはクライマックスだ!と楽しむ様子を見せる。
ただただ子どもを怖がらせないために。

そんな時、ある兵士が壁際にいた父子を見つけ
父を引っ張って壁の向こうに消える。
父はまだ笑顔を崩さない。子は父の言葉を信じてワクワクしている。

そして一発の銃声。

父は戻って来ない。


そこにロシア軍の戦車が何台も入ってくる。
収容所を開放する自由の使者だ。

子どもは壁際に座ったまま戦車とロシアの兵士を見つめている。
目は輝き、ヒーローがやってきた、とつぶやく。

ロベルト・ベニーニ監督&脚本&主演。







数年前に大学の授業でユダヤ史をとっていた頃
ニューヨーク在住の年老いた男性に会い話す機会を得た。
彼は「生存者」だった。

一見、陽気なおじいさんの彼が
陽気さを取り戻し、各地で公演をして歩く覚悟を決めたまでの
その過程はただただ想像するしか、できない。

写真で見る
積み重ねられたメガネ、靴、時計。
それだけの生活必需品とそれらをもっていた人の人数。
抹殺された人生の重み。








この名作三作品。
思いがけず思いだすことになった本と映画。

ここ数年子育てをしている中で
意識的に楽しいことばかりを身の回りにおいて過ごしてきたけれど
やっぱり語り継いでいかなければならないことはあるのだ。
目をそらしてはいけないのだ、とあらためて感じた。

一方で悲惨になりがちな舞台設定の中
人間のあたたかさを認識させてくれるこれらの三作品にも喝采したい気分だ。
by dignen | 2010-09-23 13:53 | 映画・本・うた


山の古民家暮らしをつらつらと。


by dignen

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